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日々の学習、ときどき雑談

人五人六

人五人六 [ rén wǔ rén liù ]

百度の辞書によれば、「装模作样、假正经,装作正人君子的样子」(見かけばかりの、真面目ぶった、聖人君子を装っているような様子)とのこと。罵倒語に近い俗語。方言としてはさらに別の意味になることもあるようだが、とりあえずこの辞書の意味で覚えておく。
これも知らないと文字からは全く見当もつかない言葉。

百度百科で出典として挙げられているのは、王朔『枉然不供』の「别看那小子装得五讲四美、人五人六的样儿,其实一肚子男盗女娼,背着人嘴脏着呢。」(あの野郎は綺麗事を並べて気取った様子をしていても、腹の中はやくざ者、人に隠れて汚いことをしているんだ。)
ただしこれで最初にできたというわけではなく、以前から民間にあった俗語だろう。

用例を検索すると、こんなのが出てきた。

哼,你算个什么东西,在我面前人五人六的,打你都脏了我的手。(ふん、おまえが何ほどのもんだ、俺の前でちゃらちゃらしやがって、殴ったら手が汚れらあ。)

我说的是我们!我们所有人!可耻!无能!孬种!杂碎!熊人!孱蛋头!哈卵!蔫孙!瘪三!不三不四!人五人六!七七八八的夹缠不清!(私たちのことだ!私たち全員だ!恥知らずで、無能で、ろくでなしで、クズで、……)

二つ目、訳は途中で挫折しました。この罵倒語のバリエーションはすごい。
罵倒語はたしかに「よい言葉」ではないかもしれないし、差別的な意味があって消えていくべきものも多いだろうけれど、これはこれで言語文化の結晶だと思う。罵倒語の発達は暴力ではなく口喧嘩で物事を解決しようとする姿勢と微妙に相関している気もする。つまり、罵倒語が乏しいからといってその文化が非暴力的だとは言えない。その逆も然り。まさに「人五人六」で、言葉だけ気取っていても中身が悪辣なら褒められたことではないのだ。

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