問劉十九(白居易)
私が今いる所は零下20度なんて日もあるものの、雪はあまり降りません。今年もまだ積もった日はほとんどなく、たまにちらつく程度。でもこの時期、すっぽりと雪に覆われている地域もあるでしょう。
そこで雪を歌った古詩を一首。
(原文)
問劉十九
綠蟻新醅酒、紅泥小火爐。
晚來天欲雪、能飲一杯無。
(拼音)
wèn liú shí jiǔ
lǜ yǐ xīn pēi jiǔ, hóng ní xiǎo huǒ lú 。
wǎn lái tiān yù xuě, néng yǐn yī bēi wú ?
(注)
劉十九 「十九」は排行で、劉家の同世代で十九番目の子ということ。白居易の詩で「劉十九」に言及したものは他に一首しかなく、ここでの「劉十九」が誰を指すのかは不詳という。
綠蟻 緑がかった新酒の表面にぷつぷつと蟻のように浮かぶ泡。
醅 醸す。
紅泥 赤い粘土。ここでは「小火爐」の素材。
小火爐 火鉢や七輪のような小さな炉。
晚來 日が暮れてきた頃。
天欲雪 この「雪」は動詞。雪が降る。
無 文末につくと、「〜ではないか?」「〜しないか?」というような疑問になる。現代語の「吗」に相当する。
(訳)
劉十九に問う
緑の蟻のような泡の浮く新酒
暖かく燃えさかる赤い泥の火鉢
日も暮れた 雪も降りそうだ
一杯飲んで行かんかね 君よ
(参考)
https://fanti.dugushici.com/ancient_proses/21872
寒い季節に暖かい家の中で友人と酒を飲む、という誰にも共感しやすい愉しみを短い表現の中に描きとめた名作。「綠蟻」「紅泥」という緑と赤の色彩的な鮮やかさ、生命感と、戸外の夜と雪のモノトーンの対比が効いている。