「中国語」とか、「漢文」とか

日々の学習、ときどき雑談

公共施設入場にワクチン接種歴が必要になる

私のいる地域で、ワクチン接種歴がないと大規模な公共の場所(役所、銀行、病院、体育館、図書館、ホテル、映画館、市場、スーパーマーケット等々)に原則として立ち入りできないという通知が出た。バス、タクシーも乗れなくなるという。ただし「禁忌症」(アレルギーなど)で接種できない人はそのことの証明を示せば免除されるとのこと。

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中国の場合、こういう決定は議論もなにもなく次々と上から降りてくる。ワクチンについては、接種が始まった頃周りの学生に聞いてみたらあまり乗り気でない人もいたのだが、こういう状況なので「打たないと面倒」と今はほとんどが接種した模様だ。クラスの微信グループでは最近、どこまで接種ができているか(2回接種/1回接種/これから接種したい/禁忌があり接種できない)を級長がとりまとめて学校に報告していた。ざっと見ると三十数名のうち三十名程度は1回以上接種済み、残りも接種希望ありで、接種できないと答えたのは一名だった。

これに比べると、ワクチンパスポート是か非か、打ちたくない人の権利は……といった議論をずっとぐだぐだやっている日本社会の緩さをあらためて思う。この緩さ、つまり政策を上意下達で迅速に決められない体制が感染症対策に不利なのは明らかだ。でも、これが市民の政治参加の自由というものでもあるからね。どんなに変な意見を言うやつも、過激派も陰謀論者も天邪鬼も、市民として政策議論に参加できるのが民主主義の基本。ワクチンの是非を身辺でぐだぐだ議論するなど面倒なことではあるのだが、政策を「突然上から降りてくる」ものにしないために、市民社会が引き受けるべき面倒なのだと思う。

ただその一方で、こうして降りてきた決定がどこまで額面通りに実行されるのかわからないという不思議な緩さが中国の方にはある。たとえば以前やはり公共の場所に入る度に健康コードを提示しろというような通知があったはずだが、その後何か月もの間、私は結局そういう場面をほとんど経験していない。近所の大型スーパーが時々「思い出したように」入口でチェックしたりしているが、本当に時々で、何日か経つとやめている。映画館も何回か行ったが健康コードを要求されたことはない。
今回のワクチン接種歴提示命令がどうなるかわからないが、通知の文面通りに至る所で毎回提示しろということには実際はならないんじゃないかな、という予感がある。