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日々の学習、ときどき雑談

含沙射影

含沙射影 [ hán shā shè yǐng ]

陰で他人を攻撃して陥れる。遠回しに当てこする。

出典
晋の干宝『搜神記』卷十二にある「其名曰蜮,一曰短狐,能含沙射人,所中者則身體筋急,頭痛、發熱,劇者至死」(その名を蜮といい、短狐ということもある。砂を含んで吐き出し人を射ることができる。当たった者は体がひきつり、頭痛、発熱を起こして、ひどければ死に至る)より。

「蜮 yù」は当時は実在と信じられていたのだろうが、今となっては正体不明の怪物。漢代の漢字字典『説文解字』には、「短狐也。似鼈,三足,以氣䠶害人。」(短狐である。すっぽんに似て三本足、気で射て人を害する。)という説明がある。
「砂を吹きつける」とか「気で射る」とかいうのが特徴的だが、物陰に潜んで突然人を襲う毒虫や毒蛇はいろいろいただろうから、そういうイメージが混ざって「蜮」になったのだろう。「すっぽんに似て三本足」とかは、誰かが見てきたようなことを言ったんだろうなあ。

こちらのブログにもう少し詳しく書いてあったので引用。
https://sanomarekisi.hateblo.jp/entry/34597268

"「蜮」というのは伝説の怪虫で、『捜神記』『太平御覧』『太平広記』等に記述がみられます。

『捜神記(巻十二)』によると、蜮は長江に住む動物で、「短狐」ともよばれました。蜮は沙を人に向けて放つことができ、その砂に中った者は筋肉が硬直し、頭痛発熱の症状が現れ、ひどい場合は死に至ったといいます。長江沿岸では方術によって治療し、体の肉の中から沙を取り除きました。民間では「溪毒」ともよばれています。一説では男女が川で一緒に水浴びをすると、淫女(淫乱な女性)が勝って気を乱し、このような妖物を生みだすとされています。

尚、恵王元年(前676年)に魯で蜮の害がありましたが、この「蜮」は妖物ではなく、害虫の一種を指すと思われます。"

「含沙射影」のもとの意味はこういう怪物の仕業だったようだが、現在では人間の人間に対する陰険な攻撃という意味になり、いまだによく使われている。たしかに現代生活では、砂を吹きつけてくるすっぽんのようなものに襲われる機会より人間の陰口などで痛い目に遭う機会の方が多い。

用例
这部小说含沙射影地讥刺某位影星的婚外情。(この小説はある映画スターの不倫を遠回しに風刺している。)
你含沙射影地说了半天,到底是谁得罪你了?(当てこすりみたいに長々と言ってるが、いったい誰のことが気に食わないんだ?)
我一向光明磊落,对人开诚布公,从来不含沙射影。(私はずっと公明正大、人に隠し事はせず、陰口など言ったことがない。)

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