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日々の学習、ときどき雑談

咄咄逼人

咄咄逼人 [duō duō bī rén]

強い態度で人に迫る様子。舌鋒や気迫が激しい様子。

「咄咄」は出典の『世説新語』などでは驚いた時の感嘆詞で「おやおや」「いやはや」というような意味だったようだが、現在のこの成語では強く迫る様子の形容のように捉えられている。
「逼」は迫る。

出典
世説新語』排調(「排調」はからかう、ふざけるといった意味。その種のエピソードを集めたのが排調篇)に次のような記述がある。

次復作危語。桓曰:「矛頭淅米劍頭炊。」殷曰:「百歲老翁攀枯枝。」顧曰:「井上轆轤臥嬰兒。」殷有一參軍在坐,云:「盲人騎瞎馬,夜半臨深池。」殷曰:「咄咄逼人!」仲堪眇目故也。中興書曰:「仲堪父嘗疾患經時,仲堪衣不解帶數年。自分劑湯藥,誤以藥手拭淚,遂眇一目。」

次には「危」で言葉を作った。桓玄が言った。「矛の先で米を研ぎ、剣の先で炊く」。殷仲堪が言った。「百歳の老人が枯れ枝を登る」。顧愷之が言った。「井戸のつるべの上に赤ん坊が寝ている」。殷仲堪の一人の部下がその座にいて、「盲人が目の見えない馬に乗り、夜中に深い池に近づく」と言った。殷仲堪は「おやおや、迫ってくるぞ!」と言った。殷仲堪は片目が見えなかったからである。『中興書』によれば、殷仲堪の父がかつて長く病を患い、仲堪は服も着替えずに数年間看病した。自ら煎じ薬を調剤し、誤って薬のついた手で涙を拭った。それがもとで片目が見えなくなったという。

これは東晋の顧愷之、桓玄、殷仲堪らが集まり、くじで一つの文字を引いてその文字らしい場面を語るという遊びをしていた時のエピソード。「危」という字を引き当てた時、殷仲堪の部下が片目の見えない殷仲堪の前で「盲人」を使った例を出した。それに対して殷仲堪が言ったのが「咄咄逼人」。

用例
他说话总给人一股咄咄逼人之感,令人很不舒服。
彼は話し方がいつも詰問するような調子を帯びていて、人を不快にさせる。

也许你是有理的,但如此咄咄逼人,有失厚道。
あなたに理があるかもしれないが、こんなふうに強く迫ったら穏当を欠くというものだ。

这部小说文笔虽欠细致,却有一种咄咄逼人的说服力。
この小説は繊細な筆致には欠けるが、鋭く人に迫る説得力がある。

我想解决问题,在别人看来只不过是我在咄咄逼人,全是我的问题?
私は問題を解決したいのに、人から見ると私が人を責め立ててばかりいるように見えるのは、全部私の問題?

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