「中国語」とか、「漢文」とか

日々の学習、ときどき雑談

人物

不寒而栗

不寒而栗 [bù hán ér lì]ぞっとする。(恐怖で)寒気がする。震え上がる。怖気立つ。恐怖のあまり寒くないのに震えるということ。この「栗」は「慄」に通じ、戦慄、慄然などの熟語があるように、震える、おののくという意味。繁体字圏では「不寒而慄」と表記…

二郎腿

二郎腿 [èr láng tuǐ]片脚をもう片脚の上に乗せた座り方。足を組んだ姿勢。こういう姿勢です。↓ この姿勢を「二郎腿」というのは、秦末に蜀の郡守として治水に努め都江堰を築造したという李氷とその次子(二郎)を祀った二王廟で、二郎神の像が片脚を片脚に…

东山再起

东山再起 [dōng shān zài qǐ]再起する。失敗の後やり直して成功する。巻き返す。出典 東晋の謝安が若い頃は官職を嫌って東山に隠棲していたが、四十歳を過ぎて仕官し、その後大いに治績を上げたという故事から。劉義慶『世說新語』排調篇に以下の記述がある…

旗鼓相当

旗鼓相当 [qí gǔ xiāng dāng]戦力が同程度であること。力の差が小さく、いい勝負になること。出典 『後漢書』隗囂公孫述列伝に、如令子陽到漢中、三輔,願因將軍兵馬,鼓旗相當 もし子陽が漢中、三輔にやってくるようなことがあれば、どうか将軍の兵馬によっ…

爱屋及乌

爱屋及乌 [ài wū jí wū](住人への愛が屋根の上の烏にまで及ぶように)何かを好きになるとその周辺のものまで好きになるということ。日本語には「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という諺があるが、その逆で好感が周囲にまで及ぶこと。日本語の方にはこれに当た…

走马观花

走马观花 [zǒu mǎ guān huā](馬に乗って走りながら花を見るように)物事をざっと見ること。表面的にのみ理解すること。出典となっている詩「登科後」では馬に乗って心楽しく花を眺めるという意味だったが、現在の用法では「ざっと見る」というような意味に…

溜须拍马

溜须拍马 [liū xū pāi mǎ]媚びへつらうこと。おべっかを使って取り入ること。ごまをすること。「溜须」と「拍马」の二つの行為を並列している成語。「拍马」は「拍马屁」のことで、以前記事にした。 https://anatadehanai.hatenablog.com/entry/2020/07/26/2…

拾人牙慧

拾人牙慧 [shí rén yá huì]他人の受け売り、口真似、剽窃。出典 『世説新語』文学篇の「殷中軍云、康伯未得我牙後慧」(殷中軍が言った。康伯はまだ私の口先にある知恵も身につけていない)より。『世説新語』は南朝宋の劉義慶が人物の言行、逸話などをまと…

图穷匕见

图穷匕见 [tú qióng bǐ xiàn]隠されていた意図や計略や真相が最後に現れてくること。正体が現れる。「匕」は匕首(あいくち)、短刀。「见」は「xiàn」と読み、「现」と同じ意味で「現れる」。出典 『戦国策』燕策三の「軻既取圖奉之、發圖、圖窮而匕首見」…

车水马龙

车水马龙 [chē shuǐ mǎ lóng]車や人の行き来が盛んで非常に賑わっている様子。車が流れる水のよう、馬が泳ぐ龍のよう、ということで、絶え間なく車や人が流れている様子を指す。出典 『後漢書』馬后紀の次の記述より。前過濯龍門上,見外家問起居者,車如流…

讳莫如深

讳莫如深 [huì mò rú shēn]強く避けられ隠されている。タブーとして扱われている。言及がはばかられている。出典 『春秋穀梁伝』莊公三十二年の記述より。『春秋穀梁伝』は孔子の手になると伝えられ、儒家の経典である歴史書『春秋』に対する注釈書の一つ。…

揭竿而起

揭竿而起 [jiē gān ér qǐ]竹竿に旗を掲げて決起する。決起して反乱を起こすこと。出典 賈誼の『過秦論』にある「斬木爲兵,揭竿爲旗」(木を切って武器とし、竿を掲げて旗とした)より。紀元前209年、秦の滅亡を招いた陳勝・呉広の乱についての記述。 『史記…

桃李满天下

桃李满天下 [táo lǐ mǎn tiān xià]教えた学生や育成した弟子、後輩が数多く、各地で活躍していること。出典 『資治通鑑』唐紀・武后久視元年の「或謂仁傑曰、天下桃李、悉在公門矣」(ある人が狄仁傑に言った。「天下の桃李はすべて公の門下にあります」)と…

谈虎色变

谈虎色变 [tán hǔ sè biàn]虎の話をすると顔色が変わる。恐怖で青くなる。何かを非常に恐れる様子。出典 宋代の程顥(chéng hào ていこう)・ 程頤(chéng yí ていい)兄弟による『二程全書』遺書二上にある下記の挿話より。真知與常知異。嘗見一田夫曾被虎…

欲罢不能

欲罢不能 [yù bà bù néng]やめたくてもやめられない。文字を見れば現代中国語の知識でも普通に意味がわかる成語だが、出典は一応『論語』。出典 『論語』子罕篇の以下の部分より。(原文) 顏淵喟然歎曰:「仰之彌高,鑽之彌堅;瞻之在前,忽焉在後。夫子循…

息事宁人

息事宁人 [xī shì níng rén]事を荒立てない。丸く収める。争いを避ける。事なかれ。もとは『後漢書』に基づき、皇帝が争いをやめさせ人々を安らかにするという意味だが、現在では「丸く収める」というような意味で日常的に使われている。出典 『後漢書』章帝…

應詔賦得除夜

今日は陰暦の除夜。中国では今でも陰暦を使うので、今日が大晦日、明日が元日となります。そこで除夜の詩を一つ。(原文) 應詔賦得除夜今歲今宵盡、明年明日催。 寒隨一夜去、春逐五更來。 氣色空中改、容顏暗裏回。 風光人不覺、已著後園梅。(拼音) yìng…

咄咄逼人

咄咄逼人 [duō duō bī rén]強い態度で人に迫る様子。舌鋒や気迫が激しい様子。「咄咄」は出典の『世説新語』などでは驚いた時の感嘆詞で「おやおや」「いやはや」というような意味だったようだが、現在のこの成語では強く迫る様子の形容のように捉えられてい…

咄咄怪事

咄咄怪事 [duō duō guài shì]全く奇妙だ。わけがわからない。不思議でならない。「咄咄」は出典の『世説新語』などでは「おやおや」といった驚きを表す感嘆詞。出典 劉義慶の『世説新語』黜免(ちゅつめん)の下記の故事より。「黜免」は官職を罷免されるこ…

未雨绸缪

未雨绸缪 [wèi yǔ chóu móu]災害などに前もって備えること。「绸缪」は修繕すること。まだ雨が降っていないうちに家を修繕する、そのように将来に備えることをいう。出典 『詩経』豳風(ひんぷう bīn fēng)に収められた詩「鴟鴞」(しきょう chī xiāo)にあ…

小心翼翼

小心翼翼 [xiǎo xīn yì yì]小心翼翼。非常に注意深い様子。細心の注意を払う様子。びくびくと。おっかなびっくり。出典 『詩経』大雅の「大明」にある「維此文王,小心翼翼」より。ここでは周の文王がとても慎み深い態度をとっていたという意味。用例 我们做…

对牛弹琴

对牛弹琴 [duì niú tán qín](牛に向かって琴を弾くように)手ごたえがないこと。相手に理解する能力がなく、話が通じないこと。馬の耳に念仏。豚に真珠。出典 『弘明集』所収の牟融『理惑論』より。(原文) 公明儀為牛彈清角之操,伏食如故。非牛不聞,不…

沁園春·雪(毛沢東)

「银装素裹」で検索すると「银装素裹,分外妖娆」と続けて使われている例が多いのだが、これは毛沢東の詞『沁園春·雪』の「红装素裹,分外妖娆」に基づくものだろう。 毛沢東はもちろん現在の中国を成立させた革命家であり政治家だが、当時の知識人の常とし…

『史記』平原君虞卿列伝より「毛遂自薦」

「毛遂自荐」の出典となった『史記』平原君虞卿列伝の該当部分、もう少し丁寧に見ておきます。(原文) 秦之圍邯鄲,趙使平原君求救,合從於楚,約與食客門下有勇力文武備具者二十人偕。平原君曰:「使文能取勝,則善矣。文不能取勝,則歃血於華屋之下,必得…

毛遂自荐

毛遂自荐 [máo suì zì jiàn]自薦する。自分から積極的に仕事を引き受ける。自分で自分を推薦するという意味だが、よい意味で使われることが多いとのこと。出典 『史記』平原君虞卿列伝より。(原文) 秦之圍邯鄲,趙使平原君求救,合從於楚,約與食客門下有…

稚子弄氷(楊万里)

寒い日が続き、私のいる地域では公園の池がすっかり凍っています。そこで氷の出てくる古詩を一首。稚子弄冰稚子金盆脫曉冰, 彩絲穿取當銀錚。 敲成玉磬穿林響, 忽作玻璃碎地聲。zhì zǐ nòng bīngzhì zǐ jīn pén tuō xiǎo bīng cǎi sī chuān qǔ dāng yín zh…

落井下石

落井下石 [luò jǐng xià shí]井戸に落ちた人にさらに石を投げ込むようなことをする。苦しんでいる他人を助けず、さらに苦しめるようなことをすること。出典 唐代の韓愈『柳子厚墓誌銘』にある下記の記述より。落陷穽,不一引手救,反擠之,又下石焉者,皆是…

只许州官放火,不许百姓点灯

只许州官放火,不许百姓点灯 [zhǐ xǔ zhōu guān fàng huǒ,bù xǔ bǎi xìng diǎn dēng]州の役人には放火を許し、庶民には灯を点すことも許さない。 もとは北宋の田登の故事に基づき、権力者が恣意的な取り締まりを行うこと。また一般に、筋の通らない自分勝手…

三十六计,走为上计

三十六计,走为上计[sān shí liù jì,zǒu wéi shàng jì]「三十六计,走为上策」ともいう。 三十六計逃げるに如かず。戦略はいろいろあるが、形勢が不利な時には逃げるのがいいということ。日本語の「三十六計逃げるに如かず」ということわざになり、意味も…

模棱两可

模棱两可 [ mó léng liǎng kě ]曖昧でどっちつかずの態度をとること。 「模棱」は曖昧ではっきりしないこと。「两可」はどちらも「可」とする、あれでもいい、これでもいいとしてどっちつかずであること。出典 『旧唐書』蘇味道伝の以下の記述から。味道善敷…