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日々の学習、ときどき雑談

「棉」と「绵」

百度の辞書によると、

棉 [mián]
1. 一年生或多年生草本植物或灌木,栽培品种有陆地棉、海岛棉、树棉、草棉等,其中陆地棉栽培最广。果实中的棉纤维是重要的纺织原料,棉子可以榨油。通称棉花。
2. 棉花
3. 像棉花的絮状物:石~。腈纶~。膨松~。
4. 姓。

绵 [mián]
1. 丝绵。
2. 柔软:~软。
3. 单薄:~力。~薄。
4. 连续不断:~延。

日本では「わた」や「もめん」という意味で糸偏(绞丝旁)の「綿」の字を使うが、中国では「棉」と木偏(木字旁)になる。「绵」は「丝绵」、蚕糸を原料とする綿や、柔らかい、薄い、途切れないなどの意味で使い分けられる。

これについて、百度知道(ネットの知恵袋のようなもの)にわかりやすい説明があったのでちょっと訳してみる。

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"もともとは「綿」という字しかなく、絹製品の一種を指し、糸偏も「帛」も蚕糸の意味だったそうです。絹製品は高価で貴族や金持ちしか使えず、普通の人が着ていた麻製品は当時の粗末な技術によるものでした。その後、西域から綿花が伝わり、それで作られた織物は柔らかく安価で、人々はこれを「綿」に比肩するほどだとして「木綿」と称し、後にそこから「棉」という字が生まれました。"

日本では「綿」という文字が「木綿」の意味に乗っ取られてしまったが、中国では「綿」の字は蚕糸の綿のために残して、新たに「棉」という字が作られた、ということのようだ。

現在の中国は広いので木綿が使われ始めた時期も地方によって違うが、「中原」と言われる地域では宋、元以降とされている。唐代頃ではまだ麻が主流だったということ。李白の「子夜呉歌」は、

長安一片月、萬戶擣衣聲。
秋風吹不盡、總是玉關情。
何日平胡虜、良人罷遠征。

と歌っている。この「擣衣」(衣を打つ)というのが、ごわごわした麻の衣を砧で叩いて柔らかくしていたのだという。

日本列島でも木綿が広く普及したのは江戸時代以降といわれる。今では最も普通に使われている木綿は、このあたりの極東地域には意外にも絹や麻よりずっと遅れて入ってきている。

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