江雪(柳宗元)
雪景色を描いた有名な古詩をもう一つ。
(原文)
江雪
千山鳥飛絕、
萬徑人蹤滅。
孤舟蓑笠翁、
獨釣寒江雪。
(拼音)
jiāng xuě
qiān shān niǎo fēi jué
wàn jìng rén zōng miè
gū zhōu suō lì wēng
dú diào hán jiāng xuě
(訳)
どの山にも鳥影が絶え
どの道にも足跡がない
一つの舟に蓑笠の老人が乗り
独り雪の川に釣糸を垂れている
(参考)
https://fanti.dugushici.com/ancient_proses/18048
柳宗元(773-819年)は韓愈らとともに古文運動を起こしたことで知られる中唐の知識人。また柳宗元は、皇帝順宗や王叔文らが宦官勢力排除などを目指して起こした「永貞革新」(805年)に参加した。しかしこの革新運動は挫折し、参加者はそれぞれ罪に問われ官位を剥奪されたり左遷されたりすることになる。柳宗元もこれにより、当時は僻地とされていた永州(現在の湖南省永州市)に司馬として派遣され、流謫の生活を送ることになった。
この詩はその永州時代の作とされ、こうした状況に対する作者の鬱屈や孤独感が象徴的に込められていると言われる。
確かに、あまりにできすぎた水墨画のような描写は、現実の場面というより作者の心象風景といわれる方が納得できそうだ。雪景色を歌った詩は多々あるが、その中でも寒々しさ、静けさ、張り詰めた寂しさの極致的表現として忘れがたい作になっている。