「中国語」とか、「漢文」とか

日々の学習、ときどき雑談

黄明志のイメージがマレーシアと台湾で全く違う、という動画

この西西歪というYouTuberの動画、たまたま見つけてから時々見ている。マレーシアから台湾に留学して映画の勉強をしている人で、明るいノリながらマレーシアや台湾の社会について深く切り込む話題も扱っている。

台灣人不知道的黃明志,言論自由是好是壞?!?【BABI 你是豬必須在馬來西亞上映】Feat @Namewee​ 的歷史
https://m.youtube.com/watch?v=Lh_fRQ0MAPI

これは黄明志というアーティストのイメージが台湾とマレーシアで全く違うという話。台湾では単に流行歌の作者として知られているが、マレーシアでは「禁歌」を作って逮捕された人というイメージが真っ先に出てくるのだという。黄明志はマレーシア国歌のタイトルに「f***」のような語をつけ、社会問題を曝露する歌を作って逮捕されたからだ。
西西歪も黄明志の歌や動画を見てはいけないと両親に止められて育ち、台湾に留学してYouTubeを始めようとしたら、両親から「黄明志のように「敏感な話題」を扱うのはやめてくれ」と釘を刺されたのこと。黄明志も台湾に留学して、さらにYouTube動画を作っていたからだ。西西歪は後でその両親に直接インタビューする動画も作っている。

馬來西亞華人為什麼會那麼委屈? 台灣言論自由太幸福(上集)
https://m.youtube.com/watch?v=csiFkeYLi38

解嚴前的台灣??馬來西亞10年後有機會改變嗎?(下集)
https://m.youtube.com/watch?v=oX6TL7vpFjg

私は音楽をあまり聴かないので黄明志の歌自体を知らず(聴いてみたら流行するのが頷ける質の高い作品だった)、こういうマレーシアの事情も全く知らなかった。知ったからといって気分が明るくなる話でも、自分がすぐに何かできるような話でもないのだが、こういう現実から目を背けないのは自由な社会を目指す市民の責務だと思っている。この人の動画を通じて知ることができてよかった。
また、西西歪の話す華語(これは「中国語」とは言えない)を通じてこういう知識が得られる、ということにもちょっとした感動のようなものを覚える。言語は国境を越えるし、越えさせていかなければならない。日本で「中国語」を学ぶことで、台湾から発信されるマレーシア華人の動画を理解することもできたりする。国家が言語を囲い込もうとしても、言語そのものの持つこの可能性は消せない。