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日々の学習、ときどき雑談

拾人牙慧

拾人牙慧 [shí rén yá huì]

他人の受け売り、口真似、剽窃

出典
世説新語』文学篇の「殷中軍云、康伯未得我牙後慧」(殷中軍が言った。康伯はまだ私の口先にある知恵も身につけていない)より。

世説新語』は南朝宋の劉義慶が人物の言行、逸話などをまとめたもの。
殷中軍の「中軍」は官職名で、殷浩(303-356年)のこと。殷浩は東晋の名士で学問にすぐれ、当時流行していた「清談」と呼ばれる哲学的議論にも長けていた。その甥に韓康伯がいてこれも若くして聡明だったが、殷浩がある時その話しているのを聞くと、自分の話の口真似ばかりだった。それで上のように言い、甥の慢心を戒めたという。
(「牙後慧」には違う解釈もあるようなのだが、ひとまずこの成語の説明として現在流通しているものを挙げておく。)

同じく『世説新語』にある殷浩のエピソードからできた成語「咄咄怪事」を以前メモした。
https://anatadehanai.hatenablog.com/entry/2021/02/06/235805

用例
这篇论文毫无见地,不过拾人牙慧而已。
この論文は全く自分の見解がない。他人の受け売りばかりだ。

这副春联的词语能别出新意,不拾人牙慧,十分难得。
この春聯の言葉は新鮮味があり、使い回しでなく、なかなか得難いものだ。

发表意见要有自己的独到见解,而不要拾人牙慧。
意見を発表する時は独自の見解がなくてはならず、他人の受け売りではいけない。

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