「中国語」とか、「漢文」とか

日々の学習、ときどき雑談

三孩政策来了

昨日、中国で子どもを三人まで産んでいいとする政策が発表された。よく知られている中国の「一人っ子政策」は2016年にすでに終了し、その後は基本的に二人まで産んでもいいとされてきたが、それをさらに緩めた形だ。中国では近年急速に少子高齢化が進んでいて、最近まで人口抑制を唱えてきた政府が一転して出産奨励策を講じなければならない状況になっている。

f:id:anatadehanai:20210602000624j:plain

http://www.xinhuanet.com/politics/2021-05/31/c_1127513067.htm

この政策は「三孩政策」または「三胎政策」と呼ばれ、この言葉で検索すると関連する記事やコメントがいろいろ出てくる。子どもを数えるのに「胎」と言うのは日本語ではやや生々しい感じがするが、中国語では「二胎」が「二人目」、「三胎」が「三人目」という感じで普通に使われる表現のようだ。

このニュースは日本語でも各社から報じられている。

中国共産党 夫婦の子ども“3人まで”認める方針(NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210531/k10013060731000.html

中国、夫婦1組に子ども3人まで容認 出生数減少受け政策転換(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/china-child-policy-idJPKCN2DC0KH

上のロイターの記事にも書いてあるが、このニュースに対する中国ネット民の反応を見ると、冷笑、嘲笑するものや批判的なものが多い。微博で話題になったり多くの「赞」(いいね)を集めたりしているコメントを拾って訳してみる。


f:id:anatadehanai:20210601235527j:plain
三人目政策について、見た中で最高のコメント。
"さっき見かけた一言「私がロールスロイスを三台買わないのはロールスロイスが数量限定だからなのか」、笑える"

f:id:anatadehanai:20210601235547j:plain
結婚すらしたくない。一人も生みたくないのでいくら規制緩和しても無駄。子育てするのは金も労力もかかりすぎる

f:id:anatadehanai:20210601235600j:plain
ははは、80、90年代生まれの一人っ子は夫婦二人で四人の老人を養い、さらに子どもを三人育てる。それで65歳まで働き、退職金ももらわないうちにお陀仏…専門家はこの世代全員に烈士証を発行してあげては? 国家のために生きて国家のために死ぬんだから。

f:id:anatadehanai:20210601235636j:plain
ちょっと聞きたいが、北京上海广州深圳で子どもを生んで息子だったら結婚の時に家を買わないといけない、息子が二人なら家も二つ、専門家は家の値段をご存じか?


要するに、中国でも子育てにどんどんお金がかかるようになり、裕福でなければ三人もの子どもを望めないというのが現実となっている。この話題で「生不起」「要不起」といった表現がよく目につくが、この「不起」はお金がなくてできないという意味の補語。お金がなくて生めない、お金がなくて(子どもを)欲しがることができない、という意味になる。
経済的な余裕のなさと子育てにかかる費用の高騰が少子化の主因というのは日本と同じだが、中国の政策ははたしてどの程度効果を発揮するのだろうか。