「中国語」とか、「漢文」とか

日々の学習、ときどき雑談

不速之客

不速之客 [ bù sù zhī kè ]

突然やって来た客。招かれざる客。

この「速」は速いという意味ではなく、招く、招待するという意味の動詞。古い文献に見られる用法。(なにしろ出典が『易』だ……)

出典
『易』の需の卦「有不速之客三人來、敬之終吉」(突然の客が三人やってくる、これを敬えば吉となる)より。

『易』は『周易』『易経』とも呼ばれ、周代に盛んだったという占いの方法や解釈をまとめた書物。周の文王や孔子が作者に仮託されているが、正確な作者や成立年代は不詳。後の儒家により「五経」の一つとされて『易経』と呼ばれ、占いの実践の書としても学問上の古典としても、現在に至るまで中華文化圏に強い影響を与えている。
最近はあまり見かけなくなったかもしれないが、海を越えた日本でも街角に「易者」がいて、「易」と聞けば何となくイメージが湧くのはその影響力の証左だろう。

用例
我家来了个不速之客,仔细一看,是只老鼠。(うちに不意の客が来て、よく見ると、一匹の鼠だった。)
我正准备出门,一位不速之客闯进了我的家门。(ちょうど出かけようとしていたところ、突然のお客が一人門から飛び込んできた。)

日本語の「招かれざる客」のように「来てほしくないもの」という意味が入ることが多いようだが、そこまで否定的な語感は強くなく、「不意の客」「意外な客」などの中立的な訳にした方がいい場合もありそう。

にほんブログ村 外国語ブログ 中国語へ
にほんブログ村