「中国語」とか、「漢文」とか

日々の学習、ときどき雑談

中国でのネット環境(私の場合)

中国にネット規制があるのはよく知られていることだろう。中国ではfacebooktwitterYouTubeなどのサービスが軒並み使えず、Google検索も使えない。それらにアクセスしようとするとVPNを使って海外のサーバーを経由する必要がある。(こういう手段でネット規制を回避することを中国語では「翻墙 fān qiáng」、壁越えという。)私もfacebooktwitterが見られないと困る人間なので、多少の費用をかけて有料のVPNを使っている。
ちなみに、facebookは中国語で「脸书 liǎn shū」、twitterは「推特 tuī tè」、YouTubeは「油管 yóu guǎn」という。「推特」は音訳だが、「脸书」はあまりにそのままの直訳、「油管」は半分音訳半分意訳で何やら別の物体のようになっている。言語学習者としては、こういう訳語のセンスを観察するのも面白い。

私は中国に来る前にVyprVPNとNordVPNを契約してきたのだが、最近NordVPNが全く繋がらず、不安になったので先日セカイVPNを追加導入した。一種類ではそれが潰れた時にお手上げになるので、最低二種類は回路を確保しておきたい。中国内からはVPNを通さないと別のVPNを導入することもできないのだ。コロナの影響で当分出国も難しそうだし。
三種類使ってみた感想としては、VyprVPNは繋がりにくかったり切れやすかったりするものの、世界中どこかのサーバーは基本的に使えて頼りになった。一方前評判の割に使えなかったのがNord。スムーズに繋がっていた時期もあるのだが、前述の通り今は全く使えない。どこの地域を指定してみてもアメリカのあるサーバーにアクセスしようとして、そこでぐるぐると待機中になる。この状態がずっと続くのなら、あと2年ほど残っている契約(割安になるので3年契約にした)が無駄になりそうだ。まあ全体的に安いし、VyprVPNが繋がらない時に助かったこともあるのでそれほど腹は立たない。
セカイVPNは、使ってみたら予想以上に繋がりやすく切れにくかった。「遅い」という意見も見たが特にそんな感じもせず、かなり快適に使える。ただし上記2サービスに比べると料金は高め。VyprVPNとNordVPNは両方合わせても日本円で月額1000円以下だが、セカイVPNはこれだけで月1000円する。とはいえ全部合わせても月2000円程度、それで海外のサイトや使い慣れたSNSへのアクセスが確保されるなら安いものだろう。

私が日常的にネットに繋いでいるのはスマホだけで、回線は中国联通の4G。これは入学手続きの時に、電話と同時にほぼ選択の余地なく加入させられたもの。月額100元でネット使用は上限なしである。後から調べたらもっと節約できるプランもありそうなのだが、手続きが面倒なのでそのままにしている。
スマホの機種はこちらに来てから800元ほどで買ったRedmi8、一時帰国した際にGooglePlayストアを入れてVPNはじめfacebooktwitterなどのアプリも入れたが、どれもほぼ問題なく動いている。ただしこれらの壁越え導入アプリはこのスマホの管理システムでは自動更新されず、更新を促す表示も出ないので、時々VPNに繋いだ上で手動更新してやる必要がある。
ブラウザは「浏览器」としてスマホに最初から入っているものがあるが、百度Chromeのアプリも入れている。ChromeGoogle検索が使えないのでそこは意味がないのだが、検索履歴や過去のブックマークページに直接飛べるので何となく使い続けている。問題の検索エンジンは、GoogleもYahooも使えない中でbingの国際版というやつが今のところ唯一の選択肢になっている。(私が知らないだけでもっといい選択肢もあるのかもしれない。詳しい人がいたら教えてほしい。)bing国際版は基本的に中国内の情報しか出て来ない百度などと違い、だいたいGoogleなどに似た検索結果が出てくる。しかしきちんと中国仕様にはなっているようで、検索ワードによっては急に不自然な検索結果になったり、「おたくの地域では表示できません」といった英文が出て空白になってしまったりすることがある。このへんもいろいろ面白いのだが、それはまた別の機会に。
断っていなかったが、ここまでで「使えない」と言っているのはもちろんVPNなしでの話。VPNを通せば普通にGoogle検索でも何でも使えるので特記することは何もない。ただ、ちょっと何か調べたい時にいちいちVPNに繋ぐのは面倒だし、またVPNを通すと確実に動きは遅くなるので、VPNなしでできることはしようとすると上記のような感じになる。

ちなみに、はてなのサービスについてはいくつか面白い現象に気づいた。まずこのはてなブログは閲覧も投稿もVPNなしでできる。しかしはてなブックマークVPNなしでは開けない(ダッシュボードへの通知は来る)。一方はてな匿名ダイアリーVPNなしで読める。
こういうのは別に中国政府がはてブやら増田やらを個別に監視してどうこうというのではなく、関係するシステムのどこかに中国でブロックされている部分があるかどうかということなのだろう。最近の中国はGoogle締め出しをずっと進めてきているので、Googleがらみのサービスは内容等に関係なくアクセスできないものが多い。ブログでも、はてな、note、WordPressとどれもVPNなしで問題なく読めるが、gooブログは一律に開けない。
wikipediaも基本的に開けず、最初は何たることかと嘆いたのだが、しばらくして、直接アクセスはできなくてもbingの検索結果ページで内容が読めることに気づいた。

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上の画像はどれもbingの検索結果から開いたもの。項目の左隅にある「Read more」をタップすると記事が展開され、他の項目も矢印をタップして展開していけば最後まで読める。文中のリンクも有効で、タップすると対応するwikipedia記事が同じく検索画面上に出てくる。
他にも、大手新聞社や海外メディアの記事は直接は開けないことが多いのだが、ヤフーニュースは開けて、そちらに転載されている記事はVPNなしで問題なく読めている。

中国のネット規制については、やはり住んで使ってみるといろいろ発見もあり、聞いていた話通りだったり、ちょっと違うと感じたりするのだが、そのへんはまた機会があれば少しずつ書きたい。ただ確かに、不便であることは間違いない。中国政府ももう少し度量と自信を持って、わが人民はもはやネット情報に踊らされたりはしない、と規制緩和に向かってくれればいいのだが。無理か。

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