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日々の学習、ときどき雑談

出门饺子回家面

餃子にまつわる言い伝えをもう一つ。

出门饺子回家面
旅に出る前は餃子を食べ、帰ってきたら麺を食べる

「上车饺子下车面」「上马饺子下马面」などということもあるようですが、同じ意味です。「上车」「下车」は車に乗り込む、車から降りるということで、旅の始まりと終わりを指します。「上马」「下马」は交通手段が馬だった時代の名残りです。

これは実際に、人を旅に送り出す時には餃子を食べ、帰って来たら麺を食べるという風習として、特に中国北方地域に残っているようです。私が今いるところがちょうどその地域なので、この言い回しは複数の先生から、こういうのがあるんですよ、と教えてもらいました。ただしやはり時代の変化で、若い人はもうあまり知らないかも、祖父母世代がよく言ってた、という感じらしいです。

なぜ旅立ちに餃子なのかというと、一応こういう説明があるようです。

1. 昔の旅というのはだいたい出稼ぎや行商のために故郷を離れるものだったので、お金がたくさん稼げることを願って、元宝に形が似ている餃子を食べた。

「元宝」は日本ではなじみが薄いのですが、昔の中国で使われていた通貨の一種で、写真のような形をしています。今はもちろん使われていませんが、「お金」のイメージ像としては広く共有されているようです。日本で言えば「小判」のようなものでしょうか。当然、「元宝」と言われれば形が思い浮かぶので、元宝みたいな、とこういう左右が持ち上がった形の物が形容されたりもします。

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元宝 餃子に似ているかと言われれば、どうだろう?

2. 餃子は丸い(圆)ので、旅が「圆满」に進むこと、あるいは早く「团圆」(再会)ができることを願って餃子を食べた。

これも、餃子は丸いか?とちょっと考えてしまったりもしますが、とにかくそういう理由づけがされているようです。

「回家面」の方はというと、麺は長いので、末長く共に暮らせるように、という意味だと言われています。
この、麺が「長い」ということと「末長く」をかけた習慣としては、高齢者の誕生日に供する「长寿面」もあります。日本の「年越し蕎麦」もそうですね。

餃子や麺にまつわる風習はまだまだ他にもありそうですが、今日は「出门饺子回家面」を紹介してみました。

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