「中国語」とか、「漢文」とか

日々の学習、ときどき雑談

绿(動詞)

绿 [lǜ]

(主に「被绿 bèi lǜ」の形で)浮気される、寝取られる。

「被戴绿帽子」から派生した語。昔からあるのかと思ったら、この百度の説明を見る限り、最近生まれた流行語の一つらしい。

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この記事、「被带」と書いているが、普通は「戴」の字が使われる。帽子などを身に着ける時の動詞が「戴」。

「绿帽子 lǜ mào zi」については中国語を学んでいる人ならどこかで聞いたことがあるだろう。日本語で読める解説もよく出回っているので検索してもらったらいいのだが、要するに、配偶者(主に女性)を他人に寝取られた人(主に男性)のことを「绿帽子」と呼んだり、寝取られることを「被戴绿帽子」(緑の帽子をかぶせられる)と言ったりする習慣が中華圏一帯にある。
なぜこう言うのかは例によって諸説あり、確定はできていないらしい。ただ、民間にはこの語の由来として次のような物語が伝わっている。

昔、ある夫婦がいて、夫は泊りがけで仕事に出かけることが多かった。そのうち妻は別の男と仲良くなり、夫の留守に時々男を家に連れ込んで楽しんでいたが、夫が突然帰ってきて危ない思いをすることがあった。そこで妻は緑色の帽子を作り、夫が遠出をしてしばらく帰って来ない時にだけかぶらせることにした。夫は帽子を気に入って嬉しそうにかぶっていたが、妻と相手の男にとってはそれは密会ができるという目印になっていた。このことから、「緑の帽子をかぶらされる」が妻に浮気をされることを意味するようになった。

細部はいろいろとバリエーションがあるものの、大筋としてはこういう話。面白いけれど、こういうのはだいたい先に言葉があり、後付けで作られた説話であることが多い。

他の語源説として、元代の法典『元典章』に、娼妓を出した家の者は「青頭巾」をかぶるべしという規定があったことが指摘されている。明代にも、演芸を職とする者に緑の被り物や緑の衣服を着せる規定があったとのこと。これが「绿帽子」の起源になったのではないかとも言われている。

日本には全く伝わっていない風習で、言葉の意味も知らないと予測しようがないのだが、中華圏では今でもしっかり生きていて、帽子屋でも緑色はまず売られていないとか。クロネコヤマトが中国支店を出した時、制服の緑の帽子だけはベージュに変えたという話も見た。根付いた風習はあなどれないもの。

用例
经大数据分析,你已被绿,请立刻分手。
ビッグデータの分析によれば、あなたはすでに浮気されています。すぐに別れてください。

原本以为可以坦然接受任何结果,被绿,失恋之类的种种。不料我还是那么不堪一击,分手的预兆足以让我难受很久。
もともとどんな結果も、浮気されたり失恋したりすることも淡々と受け入れられると思っていた。自分がこんなにショックに耐えられず、別れそうだというだけでこんなにずっと辛い気持ちになるとは思わなかった。

我恋爱这么久只被绿过两次,没被无缝连接过,也可能是绿我的时候,被我抓到了。无缝连接的时候,我根本就完全就不在意。
こんなに長く恋愛してきて、浮気されたのは二回だけ、すぐ次に乗り換えられたことはない。浮気された時は私が気づくということなのかもしれない。すぐ次に行かれても、自分はそもそも全く気にとめていない。

「无缝连接」は知らなかったが、検索してみたら、別れた後すぐ別の人とつきあうことを言うらしい。こういう恋愛関係の流行語はたくさんある上に日本語とは全く共通しないものも多い。
前に紹介した「备胎」(スペアタイヤ)とか。
https://anatadehanai.hatenablog.com/entry/2020/08/15/235511


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