菜(形容詞)
菜[cài]
劣っている。ひどく悪い。ダメだ。
おそらく流行語の「菜鸟」からさらに派生して生まれたスラング。
「菜鸟」についてはこちらを参照。
https://anatadehanai.hatenablog.com/entry/2020/10/17/234252
百度百科の「菜鸟」の項目にはこの「菜」の意味も載っている。曰く、
【菜】
解释:很糟,很不好的意思
例句:我这次考得很菜(我这次考得很不好)。
例句:你很菜(你做事做得不好/你这个人很不好/你笨手笨脚)。
「我这次考得很菜」といえば「今回の試験の出来はひどかった」、「你很菜」といえば、「おまえは仕事の出来が悪い」「おまえはろくでもない奴だ」「おまえは不器用でのろまだ」というような意味になるようだ。
検索すると「菜得一批」といった言い回しがよく使われていて、意味は要するに「垃圾」(クズ、ゴミ)ということらしい。
これも知らないと全くわからない語。
私も同級生が試験の後に微信で「菜的不安详」と書いているのを見て、「菜」???となり急遽調べることになった。言葉は生き物、新語は日々生まれ変化しているのだ。
菜鸟
菜鸟 [cài niǎo]
1. 新人。初心者。素人。アマチュア。
2. (周りに比べて)能力や経験が劣っている者。
百度百科によればまず次のような説明が。
この百度百科に挙げられている英語にはなぜか入っていないが、「rookie」の意味だと説明されることも多い。語源については後述するように諸説あるようだが、軍隊文化の中で新人を指す語として「老鸟 lǎo niǎo」(古参、ベテラン)と対比して使われたのが普及の一因になったらしい。
語源としては、ざっと目についたところをまとめると、「菜」(おかず)にされる鳥、すなわち食肉用の鳥ということで、伝書鳩の訓練に適応できない鳩が食肉にされることからきているというのが一説。不器用で劣った者を指す「笨鸟 bèn niǎo」という古くからある語が書き間違えられて広まったというのが一説。また、台湾の閩南語で不慣れな人、熟練していない人を「菜鸟仔」と言っていたのが起源という説、その他の方言から来たという説などがある。
言葉自体の起源は特定できないようだが、広まったきっかけとしては、インターネットの普及期にコンピューターの初心者、素人を指す語として使われたこと、また上に書いたように、軍隊の中で新人を指す語として使われたことなどがあったという。
しかし現在この語で検索してみると、多く出てくるのはゲーム(「王者栄耀」とか)で能力の劣るプレーヤーを指す用例だったりする。現在のネット民にとって、新兵だの古参だのといえば現実の軍隊よりまずこっちなのだろう。
百度百科には「ネットの流行語」と書いてあるが、すでに長年使われて社会に定着した言葉になっているようだ。2013年には「菜鸟网络科技有限公司」という会社もできている。またおそらくこの語から派生して、「菜」一字で「劣っている」「ダメだ」という意味の形容詞も生まれている。
ネット上の日本語の情報は……と探してみたら以下の記事があった。簡潔にまとまっていてわかりやすい。この2013年の記事で「もう10年近く前からある」と書かれている。
https://ameblo.jp/senyoltd0317/entry-11499187780.html
毛手毛脚
毛手毛脚 [máo shǒu máo jiǎo]
不注意。不器用。 がさつ。
日本語の感覚だと文字から意味が取りにくい成語だが、「毛」という語に「粗い」「加工が不十分」「精製されていない」といった意味があるので、それを知っていれば理解できる。動作などが不器用で失敗が多い、洗練されていない様子。
「不注意」という方向の他に、「がさつ」「粗野」という方向の意味もあるようで、「毛手毛脚的男人」のような用例が多く目につく。
用例
旧伤未愈又添新伤,最近真的是过于毛手毛脚了。(古いけがが治らないうちにまた新しいけがができた。最近ほんとに不注意すぎる。)
我最讨厌男人不善言辞而且毛手毛脚的。(私がいちばん嫌いな男性は話が下手でがさつな人。)
有请
有请 [yǒu qǐng]
集会で発言者を壇上に招いたりする時の常套語。日本語なら何だろう。「どうぞ」「お願いいたします」あたりか。
用例を見ていると、「下面有请〜〜」と言って「〜〜」の部分に紹介したい相手の名前や役職を入れるような使い方が目につく。日本語なら「続きまして〜〜さんお願いいたします」とか「次は〜〜さんをお招きしています」という感じだろうか。
先日、大学の始業式に出た(全員参加で出さされた)のだが、学長などが立って発言するたびに、司会者が「有请」と言って壇上に招いていた。日本でも中国でも学校の始業式なんて別に面白いものではないけれど、こういう習慣を直接見て知れるのは言語学習にとっては有益。
困
困 [kùn]
「困难」「贫困」のように日本語と共通の意味もあるのだが、覚えておかなければいけないのは、これ一字で「眠い」という意味になること。「困る」ではない。
「困」というだけで「眠い」だが、「犯困」という形でもよく使われる。これも「眠くなる」「眠気を催す」という意味。
用例
“你困不困? 喝咖啡吧”(「眠くない? コーヒー飲もうよ」)
起床太早也不好,早上无所事事,一到晚上10点半又犯困。 (早起きしすぎるのもよくない。朝は何もできないし、夜10時になるともう眠くなってくる。)
困的时候只要熬过那个特别困的时间点就会变得非常清醒。(眠い時はその特に眠くなる時点を我慢して通過すれば非常に目が冴えてくるものだ。)
↑
「熬」については下記の記事参照。ここも耐える、しのぐというような意味。
https://anatadehanai.hatenablog.com/entry/2020/06/21/235739
中国でのネット環境(私の場合)
中国にネット規制があるのはよく知られていることだろう。中国ではfacebook、twitter、YouTubeなどのサービスが軒並み使えず、Google検索も使えない。それらにアクセスしようとするとVPNを使って海外のサーバーを経由する必要がある。(こういう手段でネット規制を回避することを中国語では「翻墙 fān qiáng」、壁越えという。)私もfacebookやtwitterが見られないと困る人間なので、多少の費用をかけて有料のVPNを使っている。
ちなみに、facebookは中国語で「脸书 liǎn shū」、twitterは「推特 tuī tè」、YouTubeは「油管 yóu guǎn」という。「推特」は音訳だが、「脸书」はあまりにそのままの直訳、「油管」は半分音訳半分意訳で何やら別の物体のようになっている。言語学習者としては、こういう訳語のセンスを観察するのも面白い。
私は中国に来る前にVyprVPNとNordVPNを契約してきたのだが、最近NordVPNが全く繋がらず、不安になったので先日セカイVPNを追加導入した。一種類ではそれが潰れた時にお手上げになるので、最低二種類は回路を確保しておきたい。中国内からはVPNを通さないと別のVPNを導入することもできないのだ。コロナの影響で当分出国も難しそうだし。
三種類使ってみた感想としては、VyprVPNは繋がりにくかったり切れやすかったりするものの、世界中どこかのサーバーは基本的に使えて頼りになった。一方前評判の割に使えなかったのがNord。スムーズに繋がっていた時期もあるのだが、前述の通り今は全く使えない。どこの地域を指定してみてもアメリカのあるサーバーにアクセスしようとして、そこでぐるぐると待機中になる。この状態がずっと続くのなら、あと2年ほど残っている契約(割安になるので3年契約にした)が無駄になりそうだ。まあ全体的に安いし、VyprVPNが繋がらない時に助かったこともあるのでそれほど腹は立たない。
セカイVPNは、使ってみたら予想以上に繋がりやすく切れにくかった。「遅い」という意見も見たが特にそんな感じもせず、かなり快適に使える。ただし上記2サービスに比べると料金は高め。VyprVPNとNordVPNは両方合わせても日本円で月額1000円以下だが、セカイVPNはこれだけで月1000円する。とはいえ全部合わせても月2000円程度、それで海外のサイトや使い慣れたSNSへのアクセスが確保されるなら安いものだろう。
私が日常的にネットに繋いでいるのはスマホだけで、回線は中国联通の4G。これは入学手続きの時に、電話と同時にほぼ選択の余地なく加入させられたもの。月額100元でネット使用は上限なしである。後から調べたらもっと節約できるプランもありそうなのだが、手続きが面倒なのでそのままにしている。
スマホの機種はこちらに来てから800元ほどで買ったRedmi8、一時帰国した際にGooglePlayストアを入れてVPNはじめfacebookやtwitterなどのアプリも入れたが、どれもほぼ問題なく動いている。ただしこれらの壁越え導入アプリはこのスマホの管理システムでは自動更新されず、更新を促す表示も出ないので、時々VPNに繋いだ上で手動更新してやる必要がある。
ブラウザは「浏览器」としてスマホに最初から入っているものがあるが、百度とChromeのアプリも入れている。ChromeはGoogle検索が使えないのでそこは意味がないのだが、検索履歴や過去のブックマークページに直接飛べるので何となく使い続けている。問題の検索エンジンは、GoogleもYahooも使えない中でbingの国際版というやつが今のところ唯一の選択肢になっている。(私が知らないだけでもっといい選択肢もあるのかもしれない。詳しい人がいたら教えてほしい。)bing国際版は基本的に中国内の情報しか出て来ない百度などと違い、だいたいGoogleなどに似た検索結果が出てくる。しかしきちんと中国仕様にはなっているようで、検索ワードによっては急に不自然な検索結果になったり、「おたくの地域では表示できません」といった英文が出て空白になってしまったりすることがある。このへんもいろいろ面白いのだが、それはまた別の機会に。
断っていなかったが、ここまでで「使えない」と言っているのはもちろんVPNなしでの話。VPNを通せば普通にGoogle検索でも何でも使えるので特記することは何もない。ただ、ちょっと何か調べたい時にいちいちVPNに繋ぐのは面倒だし、またVPNを通すと確実に動きは遅くなるので、VPNなしでできることはしようとすると上記のような感じになる。
ちなみに、はてなのサービスについてはいくつか面白い現象に気づいた。まずこのはてなブログは閲覧も投稿もVPNなしでできる。しかしはてなブックマークはVPNなしでは開けない(ダッシュボードへの通知は来る)。一方はてな匿名ダイアリーはVPNなしで読める。
こういうのは別に中国政府がはてブやら増田やらを個別に監視してどうこうというのではなく、関係するシステムのどこかに中国でブロックされている部分があるかどうかということなのだろう。最近の中国はGoogle締め出しをずっと進めてきているので、Googleがらみのサービスは内容等に関係なくアクセスできないものが多い。ブログでも、はてな、note、WordPressとどれもVPNなしで問題なく読めるが、gooブログは一律に開けない。
wikipediaも基本的に開けず、最初は何たることかと嘆いたのだが、しばらくして、直接アクセスはできなくてもbingの検索結果ページで内容が読めることに気づいた。
上の画像はどれもbingの検索結果から開いたもの。項目の左隅にある「Read more」をタップすると記事が展開され、他の項目も矢印をタップして展開していけば最後まで読める。文中のリンクも有効で、タップすると対応するwikipedia記事が同じく検索画面上に出てくる。
他にも、大手新聞社や海外メディアの記事は直接は開けないことが多いのだが、ヤフーニュースは開けて、そちらに転載されている記事はVPNなしで問題なく読めている。
中国のネット規制については、やはり住んで使ってみるといろいろ発見もあり、聞いていた話通りだったり、ちょっと違うと感じたりするのだが、そのへんはまた機会があれば少しずつ書きたい。ただ確かに、不便であることは間違いない。中国政府ももう少し度量と自信を持って、わが人民はもはやネット情報に踊らされたりはしない、と規制緩和に向かってくれればいいのだが。無理か。