「中国語」とか、「漢文」とか

日々の学習、ときどき雑談

不寒而栗

不寒而栗 [bù hán ér lì]

ぞっとする。(恐怖で)寒気がする。震え上がる。怖気立つ。

恐怖のあまり寒くないのに震えるということ。この「栗」は「慄」に通じ、戦慄、慄然などの熟語があるように、震える、おののくという意味。繁体字圏では「不寒而慄」と表記する。植物の「くり」ではないので、繁体字の方が紛らわしくなくてわかりやすい。

出典
史記』酷吏列伝の義縱伝にある次の箇所より。

其後郡中不寒而栗、猾民佐吏為治。
その後、郡中は震え上がり、狡猾な民も官吏の統治に協力した。

漢の武帝が厳しい取り締まりで知られた義縱を定襄の太守にすると、義縱は重罪なのに軽い刑にされていた二百人と、さらにその罪人に密かに面会していた親族など二百人を死刑にした。それによって郡内の人々は震え上がり、統治に協力するようになった、という記述の箇所。

用例
那场火灾后的情景惨极了,令人不寒而栗。
その火災後の情景は無惨で、寒気のするようなものだった。

一提起文化大革命,人们立即不寒而栗。
文化大革命の話を出せば、人々はたちまち震え上がる。

自从上次他被蛇咬后,现在一听到蛇字,就不寒而栗。
彼は前回蛇に噛まれてから、今も蛇と聞くと震え上がる。

他一想到不久后将被捕判刑,就会不寒而栗,冷汗淋漓。
彼はもうすぐ逮捕され刑に服すると思うと、ぞっと寒気がして冷汗が流れるのだった。


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毛骨悚然

毛骨悚然 [máo gǔ sǒng rán]

身の毛がよだつ。ぞっとする。おぞましい。

「悚」は恐れること。shuとかsuとか読みたくなるが、普通話の読音は「sǒng」なので注意。

類義語
不寒而栗
胆战心惊

用例
那部电影真使人感到毛骨悚然。
あの映画は本当にぞっとさせられる。

这段往事直到现在还使我毛骨悚然呢!
この出来事は今思い出しても身の毛がよだつよ!

光聽你講的故事就已令人毛骨悚然,更不用說親身經歷了。
君の話を聞くだけでもぞっとするんだから、自分で経験したら言うまでもない。

你听了会起鸡皮疙瘩毛骨悚然的声音有哪些?
聞くと鳥肌が立ってぞわっとする音というと何がある?

「鸡皮疙瘩」は鳥肌。

看到飛機失事現場那種淒慘景況,連救援的消防隊員都感到毛骨悚然。
飛行機事故現場のその惨状を見て、救援の消防隊員もみな鳥肌が立つのを感じた。

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家丑不可外扬

家丑不可外扬 [jiā chǒu bù kě wài yáng]

家の醜聞を外に晒してはいけない。身内の恥を晒すな。

「丑」は繁体字では「醜」で見てくれの悪いこと、醜聞。「揚」は広く示す、言いふらすこと。家庭内の悪い話は外で言いふらすなという成語で、今でも日常的に引用されている。
日本語にも似た言い回しはあり、世界各地に同様の考え方はありそうだが、中華圏に根強いある種の伝統観念を示す成語の一つ。

用例
俗话说:“家丑不可外扬”,确实,家家有本难念的经,清官难断家务事,家庭矛盾最好家庭内部解决。
俗に、「家の恥は外に晒すな」という。確かに、どの家にも厄介な問題はあり、立派な役人も家のことは裁けない、といわれる。家庭の問題は家庭の中で解決するのが一番だ。

「家家有本难念的经」(家ごとに読みにくい経文がある)、「清官难断家务事」(清廉な役人も家の揉め事は裁き難い)、どちらも俗によく使われる成語。

动不动就说家丑不可外扬的几大多数自己就是家丑。因为怕别人扬了以后轮到它自己。
何かにつけ家の恥を外に晒すなという大多数の者は自分こそが家の恥なのだ。他人に晒されたら自分に矛先が回ってくるのが怖いからだ。

教了30多年的书,结果把自己的34岁儿子培养成了“啃老族”,被儿子打了一个耳光后彻底清醒了。没办法上电视去诉苦,传统观念还是家丑不可外扬,于是他选择在网上倾诉自己的家丑。
30年余りも教師を務めたあげく、自分の34歳の息子を「親のすねかじり」に育ててしまい、息子に平手打ちをされてとうとう目が覚めた。テレビに出て苦境を訴えることはできない。伝統観念ではやはり身内の恥は晒してはいけないのだ。そこで彼はネット上で自分の家の恥を訴えることにした。

「啃老」は老人を「啃」(かじる)ということで、親など高齢者の収入や資産をあてにして暮らす若者などを指す最近の流行語。日本でも「パラサイト」などと話題にされていたが、中国にもそういう若者はいて社会問題的に語られたりする。(しかしこの種の現象はいつの時代にもある程度あったのではとも思う。)

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家长里短

家长里短 [jiā cháng lǐ duǎn]

家族や隣近所に関する些事、日常についての四方山話。

分解すると、「家」や「里」(隣近所)と「長短」(良いことや悪いこと)が組み合わされてできている成語。家族や隣近所の細々とした出来事や、それについてあれこれ話すような話題をいう。

用例
她们喜欢凑在一起吱吱喳喳地讨论家长里短。
彼女たちは集まってぺちゃくちゃと家や隣近所の些事を話しあうのが好きだ。

我最喜欢茶余饭后坐到一起扯家长里短。
私は食事の後などに一緒に座って身の周りの四方山話をするのがとても好きだ。

家长里短真的不要发给我了,我看麻了!
身の周りのごたごたをメッセージで送ってくるのほんとにやめて。もう読むのだるい。

「看麻」は文字通りには、見すぎて(読みすぎて)麻痺してしまった、ということで、いきいきと共感したりできなくなった、うんざりしてきた、という感じだろう。

爱情如果只有激情浪漫,而没有琐碎的家长里短,终究是华而不实的。
愛情がもしロマンチックな激情だけで、細々とした日常の些事がないなら、結局花ばかりで実はないようなものだ。


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一应俱全

一应俱全 [yī yīng jù quán]

あるべきものが何でも揃っている。足りないものはない。完備されている。

「一应」は一切、すべてという意味。「俱」はともに、皆。すべて完備されているということ。

用例
这家店铺里各种百货一应俱全。
この店には各種雑貨が何でも揃っている。

别看他的居室很小,可里面一应俱全,生活起居毫无影响。
彼の居室は小さいが、中には何でも揃っていて、生活に何も影響はない。

超级舒适的两室一厅loft,情侣住或者朋友合租都是可以的。冰箱,油烟机,超大电视机,茶几,热水器一应俱全。柜子很多,收纳方便。
超快適な2LDKloft、カップルでも友人同士でのシェアも可。冷蔵庫、換気扇、特大テレビ、テーブル、熱水器すべて完備。戸棚が多く収納に便利です。

多少年过去了,虽然现在市场上的月饼琳琅满目,各种瓜果一应俱全,但是我还是喜欢吃妈妈做的月饼。
長い年月が経った。今の市場に並ぶ月餅は目移りするほどで、いろいろな菓子が何でも揃っているが、しかし私はやはり母が作った月餅を食べるのが好きだ。

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闺蜜

闺蜜 [guī mì]

女性にとっての親しい女友達。親友。

「闺」は古い表現で女性の居室を指し、「闺中密友」、女部屋の中の親密な友達という語を略して「闺密」、さらに「闺蜜」と書くようになったもの。
女性が女友達を指す語として日常的に非常によく使われている。

用例
快年下了,休息天就和闺蜜在忙福桶,红红火火过大年啦
もうすぐ正月、休みの日には女友達と福桶の用意をして、忙しくにぎやかな年越しですね

「福桶」は新年に飾る筒に花などを挿した縁起物。

出去买鞋,在不知道的情况下和闺蜜买了同款的不同配色,这,一定是特别的缘分吧,心有灵犀?喜好一致?
靴を買いに行ったら、どうしたわけか親友と同じ型で色違いのを買っていた。これ、きっと特別な縁だよね。以心伝心?好みが同じ?

我闺蜜还和他男友在北京。我原本以为他们今年可以回成都,我们一起吃火锅过年的,和闺蜜两年没有见了。
私の親友はまだ彼氏と一緒に北京にいる。私は二人とも今年は成都に戻れて、一緒に火鍋を食べて年を越せると思っていた。親友とは二年会っていない。

一位女子耗时一个星期,为闺蜜的宝宝制作百家被。李女士表示,初中时和闺蜜约定,要做对方宝宝的干妈。因为疫情原因没办法去看闺蜜,自己就买材料为宝宝做了一个百家被。
ある女性が一週間かけて、親友の赤ちゃんのために「百家被」を作った。李さんによれば、中学校の時親しい女友達と、相手の子どもの干媽になろうと約束した。コロナ流行で親友に会えないので、自分で材料を買って赤ちゃんのために百家被を作ったとのこと。

「百家被」は多くの端布を縫い合わせて作る赤ん坊用の掛け布団。西洋のパッチワークのようなもの。百軒の家から一枚ずつ布切れを集め、多くの家に守られて赤ん坊が無事に育つことを願った習俗という。
「干妈」は実の親の他に子どもの義理の保護者として「干亲」を定めるという風習があり、その義理の母親をいう。

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基友

基友 [jī yǒu]

男性のゲイのパートナー。転じて、親友、仲間。

もとは、香港などで英語のgayに「基」の字を当て、男性同性愛者を「基佬」と呼ぶようになった。香港で使われる粤語(広東語)では「基」はgayと発音が近く、「佬」は成人男性を指す俗称。
これが映画などを通じて他の中国語圏にも伝播し、さらに「基」から元のgayという意味が薄れて、「基友」は主にネットスラングとして仲の良い男同士の友達、さらに男女問わず親しい友達といった使われ方もするようになったとのこと。ただし女性同士の場合は「姬友」(音は同じくjī yǒu)と表現することもあるようだ。
百度百科では下のように説明している。

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f:id:anatadehanai:20220116235636j:plain

用例
吃了海市山塘的小吃,见了我的好基友们
海市山塘の軽食を食べて、親友たちに会った

尼玛,气得忘了打车直接跟基友一路骂一路走去地铁了。刚刚才意识到我是要打车的。
くそ、頭に来てタクシー呼ぶのも忘れて友達とそのまま悪口言いながら地下鉄まで歩いてしまった。今そういえばタクシーに乗るつもりだったと気づいた。

今天是出去聚餐的一天,包括我的10多年好基友加上老婆的两个好闺蜜总计5人。
今日は外で集まって食事をした日だった。私の10年以上前からの親友と妻の親友二人の計5人。

看到身边一个一个基友们都拿到了驾照,
觉得自己真的好菜鸡啊
身の周りの友達がみんな運転免許を取ったのを見ると、自分はほんとにダメなやつだと思う

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首当其冲

首当其冲 [shǒu dāng qí chōng]

(攻撃や災害などの)被害を最初に受ける。真っ先に犠牲になる。矢面に立つ。

「首」は最初ということ、「冲」は繁体字では「衝」で、日本語でも「要衝」と言うように、大きな通り道という意味がある。したがって「首当其冲」は「初めにその通り道にあたる」ということ。

用例
儿童和老年人极有可能首当其冲。
児童と高齢者が真っ先に犠牲になるに違いない。

由于人民币贬值,对外贸易首当其冲。
人民元が値下がりすると、対外貿易が真っ先に被害を受ける。

在这次战役中,他首当其冲加入了战斗。
この度の戦役で、彼は最前線で戦闘に加わった。

剧烈的气候变化将影响到人类的社会、经济、生态等各个方面,其中,首当其冲是农业。
激烈な気候変化は人類の社会、経済、生態など各方面影響を与えるが、中でも真っ先に犠牲になるのは農業である。

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狼吞虎咽

狼吞虎咽 [láng tūn hǔ yàn]

狼や虎のように飲み食いする。猛然と物を食べる様子。がつがつ。

これは文字を見れば意味の想像できる成語。「呑」も「咽」も飲み込むこと。
「咽」は多音字で、ここでは「」。日本語でも咽頭、咽喉などと言うように名詞として「のど」を意味する時は一声の「yān」。この成語のように「飲み込む」という動詞の時は四声の「yàn」。日本語でも嗚咽(おえつ)と言うように、声が押し殺されたような様子を指す時は「yè」。日本の漢字音にも「いん」「えつ」というように音の違いは反映されている。

用例
孩子们争先恐后地抢到食物,狼吞虎咽地吃起来。
子どもたちは先を争って食べ物をひったくると、がつがつと食べ始めた。

弟弟吃到好吃的东西总是狼吞虎咽的。
弟はおいしいものにありつくといつもがつがつ平らげてしまう。

他确实饿极了,不一会儿将两大碗面条狼吞虎咽般吃得一干二净。
彼は確かにひどく飢えていて、まもなく麺を大椀に二杯がつがつと平らげてしまった。

一天没吃饭的后果就是晚上吃得狼吞虎咽。好像这辈子第一次吃饭一样。
一日食事をしていなかったため晩はがつがつと食いまくった。まるで人生で初めて食事するみたいだった。

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大快朵颐

大快朵颐 [dà kuài duǒ yí]

顎を大きく動かして物を食べる様子。大いに飲み食いする様子。

「朵颐」は『易』の「颐」の卦に「观我朵颐」とあるという古い言葉で、頬や顎を動かすことという。頬や顎を動かして大いに飲み食いする様子をいう成語。

類義語
大吃大喝
狼吞虎咽

用例
我们对着烤火鸡肉和烤火腿大快朵颐,直到吃不下为止。
私たちは焼いた鶏肉やハムを前に、これ以上食べられないというまで大いに飲み食いした。

遇上节庆,台湾人少不了要大快朵颐一番,而元宵节也不例外。
祝日になると、台湾人には思いきりごちそうを味わうことが欠かせず、元宵節も例外ではない。

今天是我国传统节日——腊八节。上海海昌海洋公园为了让“小吃货们”享受大快朵颐的时光,保育员们为海洋萌宝们定制了“海味儿”腊八粥。
今日は我が国の伝統的な節句——蠟八節だ。上海海洋公園では「小さな食いしん坊たち」にご馳走を楽しんでもらおうと、飼育員が海のかわいい仲間たち向けに「海風味」蠟八粥を作った。

陰暦の12月8日を「蠟八」(12月の別称が「蠟月」でその8日目ということ)といい、「蠟八粥」という粥を食べる風習がある。今年は今日(2022年1月10日)が陰暦の「蠟八」。

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