「中国語」とか、「漢文」とか

日々の学習、ときどき雑談

典故

谈虎色变

谈虎色变 [tán hǔ sè biàn]虎の話をすると顔色が変わる。恐怖で青くなる。何かを非常に恐れる様子。出典 宋代の程顥(chéng hào ていこう)・ 程頤(chéng yí ていい)兄弟による『二程全書』遺書二上にある下記の挿話より。真知與常知異。嘗見一田夫曾被虎…

一筹莫展

一筹莫展 [yī chóu mò zhǎn]一つもよい方法が見つからない。何も策が浮かばない。糸口が見つからない。万策尽きる。手も足も出ない。進展がない。行き詰まる。出典 『宋史』蔡幼学伝の「多士盈庭而一筹不吐」(多くの士が朝廷に溢れているが一つの方策も口に…

哗众取宠

哗众取宠 [huá zhòng qǔ chǒng]大衆に迎合する。軽薄な言動で人気取りをする。出典 『漢書』芸文誌の「然惑者既失精微、而辟者又隨時抑揚、違離道本、茍以譁眾取寵」 (惑う者は正確さ緻密さを失い、邪な者は時代に流されて浮沈し、本来の道を外れ、かりそめ…

浑身解数

浑身解数 [hún shēn xiè shù]あらゆる手段。持てる技のすべて。「使出」「使尽」「用尽」などに続けて使われる。 「浑身」は全身、渾身、「解数」は武術などの技という意味から、技術、手段。出典 『西遊記』第七十三回の「渾身解数如花錦」より。用例 歌手…

欲罢不能

欲罢不能 [yù bà bù néng]やめたくてもやめられない。文字を見れば現代中国語の知識でも普通に意味がわかる成語だが、出典は一応『論語』。出典 『論語』子罕篇の以下の部分より。(原文) 顏淵喟然歎曰:「仰之彌高,鑽之彌堅;瞻之在前,忽焉在後。夫子循…

投鼠忌器

投鼠忌器 [tóu shǔ jì qì](鼠を打ち殺したいが傍にある器物を壊したくないので気後れするように)行動を起こしたくても憚るところがあってできないこと。当人以外に対して気をつかうこと。思いきれない。優柔不断になる。出典 賈誼(かぎ)の『新書』階級篇…

火眼金睛

火眼金睛 [huǒ yǎn jīn jīng](孫悟空が光る目で妖魔の正体を見分けられたように)目ざとい、目が効く、眼力が鋭い。出典 『西遊記』で孫悟空が太上老君に捉えられ煉丹の炉に放り込まれたが、煙で燻された目が神通力を得て、出てきた時には妖魔の正体を見破…

金无足赤

金无足赤 [jīn wú zú chì]完全な色をした黄金はない。比喩として、完全なものはない。何にでも欠点はある。「金无足赤,人无完人」(色の足りた黄金も、完全な人間もいない)という形で使われることが多い。出典 宋の戴復古の詩『寄興』の「黄金無足色、白璧…

白璧无瑕

白璧无瑕 [bái bì wú xiá]白い璧(へき、玉環の形をした玉器)に全く傷がないように、完璧である。完全無欠である。欠点が全くない。非の打ち所がない。「白璧微瑕 bái bì wēi xiá」はちょっとした欠点がある、ということ。日本語でも「白璧の微瑕(はくへき…

息事宁人

息事宁人 [xī shì níng rén]事を荒立てない。丸く収める。争いを避ける。事なかれ。もとは『後漢書』に基づき、皇帝が争いをやめさせ人々を安らかにするという意味だが、現在では「丸く収める」というような意味で日常的に使われている。出典 『後漢書』章帝…

始终如一

始终如一 [shǐ zhōng rú yī]初めから終わりまで同じように。ずっと変わらず。一貫して。出典 『荀子』議兵に次のようにある。慮必先事、而申之以敬、慎終如始、終始如一、夫是之謂大吉。 物事に先立って必ずよく考え、さらに戒めを重ね、最後まで最初のよう…

移风易俗

移风易俗 [yí fēng yì sú]風俗を変化させる。人々の気風や習慣を変える。「易」は「かえる」の意味。「移」とともに変化させるということ。出典 『荀子』に「樂者、聖人之所樂也、而可以善民心、其感人深、其移風易俗、故先王導之以禮樂而民和睦」(楽とは、…

對雪(杜甫)

これも雪の詩。とはいえこの時の作者には雪を美的に鑑賞するような余裕はなかった模様。(原文) 對雪戰哭多新鬼、愁吟獨老翁。 亂雲低薄暮、急雪舞迴風。 瓢棄尊無綠、爐存火似紅。 數州消息斷、愁坐正書空。(拼音) duì xuězhàn kū duō xīn guǐ , chóu y…

咄咄逼人

咄咄逼人 [duō duō bī rén]強い態度で人に迫る様子。舌鋒や気迫が激しい様子。「咄咄」は出典の『世説新語』などでは驚いた時の感嘆詞で「おやおや」「いやはや」というような意味だったようだが、現在のこの成語では強く迫る様子の形容のように捉えられてい…

咄咄怪事

咄咄怪事 [duō duō guài shì]全く奇妙だ。わけがわからない。不思議でならない。「咄咄」は出典の『世説新語』などでは「おやおや」といった驚きを表す感嘆詞。出典 劉義慶の『世説新語』黜免(ちゅつめん)の下記の故事より。「黜免」は官職を罷免されるこ…

钩心斗角

钩心斗角 [gōu xīn dòu jiǎo]建物などの構造が複雑で精巧な様子。 転じて、人々がさまざまな思惑を抱き、陰険に争いあう様子。出典 杜牧の『阿房宮賦』にある「各抱地勢、鉤心鬥角」より。 https://fanti.dugushici.com/ancient_proses/47516 https://fanti.…

沆瀣一气

沆瀣一气 [hàng xiè yī qì]結託する。気を通じる。ぐるになる。出典 宋の銭易『南部新書』にある「乾符二年、崔沆放崔瀣榜、談者称、座主門生、沆瀣一氣」より。「沆瀣」は『楚辞』に「餐六氣而飲沆瀣」とあり、王逸の注によれば「夜半の気なり」、深夜の水…

「柴米油盐酱醋茶」の対義語

昨日紹介した「柴米油盐酱醋茶」は日常に不可欠な、所帯じみたものの代名詞ということだったが、これにまたその対義語ともいうべき表現がある。琴棋书画诗酒花 qín qí shū huà shī jiǔ huāである。琴、棋(主に日本語の「碁」に相当。また一般に盤上の遊戯)…

未雨绸缪

未雨绸缪 [wèi yǔ chóu móu]災害などに前もって備えること。「绸缪」は修繕すること。まだ雨が降っていないうちに家を修繕する、そのように将来に備えることをいう。出典 『詩経』豳風(ひんぷう bīn fēng)に収められた詩「鴟鴞」(しきょう chī xiāo)にあ…

小心翼翼

小心翼翼 [xiǎo xīn yì yì]小心翼翼。非常に注意深い様子。細心の注意を払う様子。びくびくと。おっかなびっくり。出典 『詩経』大雅の「大明」にある「維此文王,小心翼翼」より。ここでは周の文王がとても慎み深い態度をとっていたという意味。用例 我们做…

如临深渊,如履薄冰

如临深渊,如履薄冰 [rú lín shēn yuān, rú lǚ bó bīng](深淵の縁にいるかのよう、薄い氷を踏んでいるかのように)不安で緊張した状態にあること。出典 「战战兢兢」の項で既出。 https://anatadehanai.hatenablog.com/entry/2021/01/11/234627「如临深渊…

战战兢兢

战战兢兢 [zhàn zhàn jīng jīng]戦々恐々。非常に緊張している。びくびくと恐れ戦く。片時も気が休まらない。出典 『詩経』小雅の「小旻」(xiǎo mín しょうびん)篇にある「戰戰兢兢、如臨深淵、如履薄冰」(恐れ戦いて、深淵の縁にいるかのよう、薄い氷を…

天衣无缝

天衣无缝 [tiān yī wú fèng]物事が緻密で破綻がなく、完全である様子。ここの「缝」は縫い目、隙間という意味の名詞で四声なので注意。「縫う」という動詞の時は二声でféngとなる。 日本語の「天衣無縫」は無邪気、天真爛漫というような意味で使われるが、中…

对牛弹琴

对牛弹琴 [duì niú tán qín](牛に向かって琴を弾くように)手ごたえがないこと。相手に理解する能力がなく、話が通じないこと。馬の耳に念仏。豚に真珠。出典 『弘明集』所収の牟融『理惑論』より。(原文) 公明儀為牛彈清角之操,伏食如故。非牛不聞,不…

养尊处优

养尊处优 [yǎng zūn chǔ yōu]安楽で恵まれた状態にある。いい暮らしをする。出典 宋代の蘇洵(そじゅん)による『上韓樞密書』に「天子者,養尊而處優,樹恩而收名,與天下為喜樂者也」(天子というものは、尊ばれる生活を送り優れた地位に身を置き、下位の…

井井有条

井井有条 [jǐng jǐng yǒu tiáo]整然と筋が通っている様子。よく整理されている様子。出典 『荀子』儒效の「井井兮其有理也」より。「聖人」のあり方として挙げられているもの。用例 家里的大事小事他都能料理得井井有条。 家の中のさまざまな用事を彼は何で…

落井下石

落井下石 [luò jǐng xià shí]井戸に落ちた人にさらに石を投げ込むようなことをする。苦しんでいる他人を助けず、さらに苦しめるようなことをすること。出典 唐代の韓愈『柳子厚墓誌銘』にある下記の記述より。落陷穽,不一引手救,反擠之,又下石焉者,皆是…

心怀叵测

心怀叵测 [xīn huái pǒ cè]悪意を隠している。腹に一物ある。腹黒い。「叵」は「不可」の意味。つまり「心怀叵测」は「心懐測るべからず」、心中が推測できない、何か悪意を隠している、腹黒い、というような意味になる。出典 明の羅貫中『三国演義』第五十…

只许州官放火,不许百姓点灯

只许州官放火,不许百姓点灯 [zhǐ xǔ zhōu guān fàng huǒ,bù xǔ bǎi xìng diǎn dēng]州の役人には放火を許し、庶民には灯を点すことも許さない。 もとは北宋の田登の故事に基づき、権力者が恣意的な取り締まりを行うこと。また一般に、筋の通らない自分勝手…

得意忘形

得意忘形 [dé yì wàng xíng]得意になりすぎる。いい気になる。天狗になる。(貶す意を含む)出典 『晋書』阮籍伝の「当其得意、忽忘形骸」が出典として挙げられることが多いが、これは「竹林七賢」の一人であり隠士として知られる阮籍が世俗にとらわれず奔放…